海外研修リポート山口 真由さん(2018年海外研修員)

変化を恐れず常により良いものを目指していく姿勢が
大事だと考えています。

氏名

山口 真由さん

所属楽団

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

楽器

クラリネット

研修年度

2018年度

研修先

マンハイム/ドイツ

指導者

ライナー・ミュラー=ヴァン・レクム

(ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団・首席)

なぜ、海外研修員に応募したのですか?

ずっと海外で勉強したいと思っていましたが、アフィニス夏の音楽祭で出会ったライナー・ミュラー=ヴァン・レクム先生はフランス管とドイツ管のいいとこ取りをしたような美しい音であること、ドイツ人らしい歌いまわし、和音感覚の鋭さなどの音楽性や人間性にもとても感銘を受けたことがきっかけとなりました。短期間ではなく、ある程度長い期間指導を受けて、自分の音楽や演奏の基本的な部分を見直したいと思い、応募しました。


研修中の課題は何でしたか?どのようなレッスンを受講しましたか?

演奏時の基本的な呼吸、姿勢、特に支えとなる体感のことはよく指摘を受けました。

研修当初はフレーズや音に対するアイディアを中心に学ぼうと思っていたのですが、一番始めに直したのは姿勢や呼吸といった基本的な身体の使い方でした。しかし、この点を改善できたことは一番大きな収穫でした。

年を取ることで身体は変化していきますが、その変化を冷静に見つめ調整していく難しさを認識して、40代50代になっても動ける身体を維持するには身体の支えStützeが何よりも大事だと感じました。

また音を自分で作っていく(音色、響き、音程)作業も、楽器の性能に頼って今までないがしろにしていた点だったので反省し、息の長いフレーズについては、楽譜に書いてあることをもう一度見直しました。先生はとても丁寧に楽譜に書いてあることを再現されていて、この点も私は今までないがしろにしていたことですが、作曲家が引いた線の一つ一つを丁寧に再現している楽譜の大事な情報を見落とさないように今後も注意したいと思っています。


海外の生活はどうでしたか?

よくも悪くも、自分は日本人なんだ、ということを強く意識しました。

銀行口座の開設、ビザの申請から受け取り、部屋の故障など、トラブルが起こらない手続きは一つとしてなかったのですが、周囲の人に助けられ一つずつ解決していきました。また、だいぶ年上だった私と分け隔てなく接してくれて、私の様々な困難を助けてくれた学生さんたちにも心から感謝しています。

日本人であることが必ずしもマイナスではないことも感じました。真面目で勤勉でスケジュール管理ができるところは特に美点だと思います。

ドイツのオーケストラもどんどん多国籍化していますし、何世紀か先には国ごとの特徴はなくなってしまうかもしれません。

自分自身や音楽を冷静に見つめ視野を広く持ち、変化を恐れず常により良いものを目指していく姿勢を忘れないことが大事だと考えています

 

研修を終え、自分の楽団に戻ってからの演奏にどのような変化がありましたか?また何を大事にしていますか?

縦の線で合わせていくことよりもひとつひとつのフレーズをさらに大切に考えるようになりました。自分の中での自由度が増し、より視野を広くアンサンブルができるようになったように感じます。また同じ日本人同士だからと怠っていた、コミュニケーションをもっと大切にしたいと考えるようになりました

 

海外研修を考えている方々へ一言!

すべての体験が、誇張ではなく今後の人生にとって大切な糧になっていきます。

どうぞ全力で学んで楽しんで、素敵な留学生活を送られることを祈っています。

※2020年4月時点の内容となります。

※本文中の人名表記はご本人の言葉に沿って一部敬称略、また登場人物の所属等はすべて当時のものです。