音楽や芸術、自分自身についてもじっくりと考えてみる時間が
持てたことは、留学生活のひとつの大切なシーンです
- 氏名
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荒川 文吉さん
- 所属楽団
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東京フィルハーモニー交響楽団
- 楽器
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オーボエ
- 研修年度
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2017年度
- 研修先
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ベルリン/ドイツ
- 指導者
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ジョナサン・ケリー
(ベルリンフィルハーモニー管弦楽団・首席)
なぜ、海外研修員に応募したのですか?
2015年に初めて国際コンクールに参加し、世界中から集まった同世代の演奏を聴いて、その自由さに衝撃を受けました。
以前から留学に漠然とした興味はありましたが、ハッキリと意識し始めたのはこの時だったと思います。
オーケストラに入団してからしばらくは、日々の仕事に専念するだけでいっぱいいっぱいでしたが、次第に首席奏者としてソロプレイの幅を広げたいという思いや、基礎力の向上にじっくり取り組みたいという思いが強くなり、海外研修に応募しました。
研修中の課題は何でしたか?どのようなレッスンを受講しましたか?
「ソロスキルの拡充と基礎力の向上」を課題にしていました。立ち方や息の吸い方から見直し、丁寧にレッスンしていただいたと思います。
発音やビブラートなど、様々なテクニックの根底に「歌」の要素が求められ、オーボエの作品とは別にオペラアリアを勉強する機会も多くありました。
子音や母音を意識してタンギングを使い分ける練習など、自分が今まであまり考えたことのなかった領域にまで及ぶレッスンは、発見の連続でした。
また、オーケストラでのプレイを隣で勉強できたことも得難い経験でした。一対一のレッスンだけではなかなか気付くことのできなかった、現場ならではの学びも多かったと感じています。
海外の生活はどうでしたか?
一人暮らしをすること自体も初めてだったので、何から何まで新鮮な反面大変なことも数多くありました。
困っているところを助けてもらう度に、人の温かさに触れる喜びを感じました。
日本での生活に比べて時間があったので、夜な夜な演奏会へ足を運んだり、天気の良い日は公園に出掛けたり、贅沢な時を過ごしました。
音楽や芸術のこと、そして自分自身についてもじっくりと考えてみる時間が持てたことは、留学生活のひとつの大切なシーンとして胸に残っています。
研修を終え、自分の楽団に戻ってからの演奏にどのような変化がありましたか?また何を大事にしていますか?
レガートの精度が上がったように思います。
また、演奏における自然な身体の使い方が身に付いたので、以前より楽に、自由に吹けるようになったと感じています。
適度なストレッチや運動を日常に取り入れて、基礎力の維持向上に努めています。
海外研修を考えている方々へ一言!
「思い立ったが吉日」という言葉がありますが、もし海外研修に興味があるならばすぐに動き出した方が良いです。
研修地の設定、先生とのコンタクト、語学や家の問題等々…準備をするだけでもけっこう時間がかかりますが、その大変さを遥かに上回る、得難い幸せな経験が必ず待っています。
この素晴らしい制度が長く続き、その輪が益々広がっていくことを願っています。
※2020年4月時点の内容となります。
※本文中の人名表記はご本人の言葉に沿って一部敬称略、また登場人物の所属等はすべて当時のものです。